「まだ 子供達がいるから。自由には 会いないよ。」


気怠い 凪の時間。


富永さんに 寄り添い 私は 言う。



「うん。職場に バレても 面倒だからね。」


富永さんは 責任を 分散してくれる。




「でもさ 久美子の人生 まだ 40年以上 残っているじゃん。これからの方が 長いんだよ。」



富永さんの 言葉に 私は ハッとする。



3年後 美由紀は 大学を卒業し 直哉は 成人する。



そこから先は 私の 人生だから。


私の人生は まだ 始まってさえもいない。



何故か 希望が溢れて 私は 顔が綻んでしまう。


「うん。今日 一番良い 笑顔だね。」



富永さんの 温かい言葉に 心に残る 氷の破片は 少しずつ 溶けていた。