美由紀を 妊娠したのは 結婚して 4ヵ月が 過ぎた頃。


派遣の仕事も 慣れて。

私たちの 生活が やっと 落ち着き始めた時だった。



最初、栄二は 喜んで

私のことを 労わってくれたけれど。


私の つわりが ひどくなると

途端に 態度が 変わった。



「ねえ。いつまで 気持ち悪いって 言っているの。いい加減にしろよ。」


食事の準備が 十分にできない私を 栄二は 責める。


「そんなこと言っても。私だって 好きで つわりに なっているわけじゃないし。」


私が 青い顔で言うと


「つわりは 気の持ちようって 書いてあるじゃん。気持ち悪いって 思うから 気持ち悪くなるんだよ。」


妊娠と知って買った 育児書を開いて 栄二は言う。


「わかったよ。ご飯作るから。」


結局 私は 面倒になって 折れてしまう。



「できるなら 最初から 作れよ。」



この時に 私は 気付き始めていた。



多分 この人とは 幸せになれないって。