「久美子さんと 結婚を前提に お付き合いをしています。就職して 生活ができるようになったら 結婚したいと思います。」

栄二が 私の実家に来て 両親に会ったのは

まだ 大学生の時。


「このまま 久美子さんが こっちに残ることを 許して頂けないでしょうか。」

私が 就活を始める前。



神妙に 頭を下げる栄二が 私は 正直 意外だった。



「まだ2人とも 若いから。この先 何があるか わからないだろう。こんなに早く 決めることも ないだろう。」


私の父は 常識的なことを言う。


母も 父の隣で 心配そうに 頷く。


「いい加減な 気持ちじゃありません。久美子さんのことは 入学から ずっと知っているから。久美子さん以外の人と 結婚する気は ありません。」


はっきりと言いきる栄二が 私は 嬉しかった。


「久美子は どうなんだ。」


父に聞かれて。


「私も 同じ気持ちだよ。」


私は 得意げに頷く。



心配そうに 私を見つめる両親。


もし 両親に 強く反対されていたら。




私達の人生は 違っていたのかな。