次の日の朝。
私は悠くんになにも言うことなく、いつもより早く家を出た。

彼と会いたくなかったのだ。


「はぁ……」


久しぶりに駅までの道のりをひとりで歩く中、私は思わずため息をついた。

脳内で再生されるのは昨日の出来事で。
私は昨日、悠くんにキスされたのだ。


初めての経験におどろきを隠せなくて。
どうして悠くんはあんなことをしたのだろうか。


なにも知らない私に対して、悠くんは手慣れていた。
たぶん悠くんにとってキスはなんてことない。

本当に悠くんは軽い人。