「いつになったら意識するんだよ」


悠くんはようやく私の頬を挟む手を離したかと思えば。

ゆっくりとその手をおろしていき、あの虫刺されの痕ができている場所で止めた。


「悠くん……?」

「みんな、怪しんでたけど……彩葉の性格からして信じられねぇよな」

「……もしかして、痕が大きくなってる?」


悠くんがそこに触れるから、思わず気にしてしまう。

特に掻くようなことはしていないけれど、一応絆創膏を貼ったほうがいいかもしれない。



「いや、もうひとつ痕をつけてぇくらいだな。
もっと目立たせたい」

「えっ……?」
「この虫刺されの原因が俺って気づいてないだろ?」


思わず目を丸くする。
悠くんはなにを言っているのだ。

悠くんが虫刺されの張本人だなんて、そんなのあり得るはずがないというのに。