「あ、でもね。悠くんの前の席の美咲ちゃん、すごく良い人だったの。仲良くなりたいって言ってくれて……」
「良かったな」
「悠くんもぜったいに仲良くなれると思うよ」
「俺も仲良くしろって？
それで彩葉はなにも思わないんだな」
「えっ……そんなことないよ、嬉しい！もしかしたら悠くん、美咲ちゃんのこと好きになるかもしれないよ。そのまま付き合って……むぐっ」
なぜかそのとき、悠くんの右手で両頬を挟まれてしまう。
なかなか力が強かったせいで、変な声が出てしまった。
「本当に彩葉って余計なひとこと多いよな」
「む……？」
悠くんの手が邪魔でロクに話せない。
どうしてか、彼は不機嫌そうだ。
