すると悠くんは眠っていなかったようで、私のほうは一切向かずにスマホを確認した。
顔色は悪くなさそうで安心したかと思えば、突然悠くんは私を見てきた。
「心配してくれてんだ?」
「……っ!?」
まさか話しかけられるとは思っておらず、おどろきのあまり、ガタッと椅子の音をたてて立ち上がってしまう。
そのせいで逆に周りの視線を集めてしまった。
「彩葉ちゃん、大丈夫?
どうしたの?」
他の女の子たちと話していた美咲ちゃんが、心配した様子で私に駆け寄ってきた。
「あ、いや……なんでもないよ!
ごめんね、大きな音を立てちゃって……」
「そう……?
大丈夫なら良かった」
「うん……!じゃ、じゃあ私は行くね!」
視線が集まることに慣れていない私は、慌てて由良ちゃんの元に戻る。
本当に最悪だ、悠くんのせいである。
しかも学校で話しかけてくるだなんて。
今日は悠くんを責めてやると心に決めた。



