「彩葉、聞いてる?」
「え、うん……!聞いてるよ」
「うそだ、ぜったいに聞いてなかったよね。そんな呑気でいたらダメだよ?岸田は確実に彩葉を狙ってるから」
「うっ……ごめんなさい」
素直にうそを認めて謝るけれど、呑気とはどういうことだろう。
残念ながらその自覚はなかった。
「本当に岸田には気をつけなよ?」
「…………」
「彩葉?さっきからどうしたの?」
「ちょ、ちょっと次の授業の準備してくるね!」
「え?彩葉……」
やっぱり気になった私は教室に戻った。
すぐに悠くんの席を見れば、彼は机に突っ伏して寝ていた。
教室には半分ほど人がいたため、変に話しかけられない。
そのため自分の席に座り、スマホでメッセージを送ることにした。



