昔からの癖が抜けなくて、今でもずっと悠くん呼びは変わらない。


こうして帰りの電車が同じだと、なにも言わずに私たちは一緒に家へ帰るほど、仲のいい幼なじみの関係が続いていた。


「転ぶなよ」
「そんなドジじゃないよ……!」

「うそつけ、いつも危なっかしいくせに」


たまに意地悪な発言もしてくるけれど、私の手を優しく握ってくれる悠くんは、気にかけてくれているのだ。


そんな悠くんとは、保育園から小学校、中学校に高校まで同じで。

悠くんが私と同じ高校を志望しているのを知ったときは、本当におどろいた。


だって悠くん、私なんかよりもずっと賢いから。
ぜったいにもっと上の高校を目指せたはずなのに。

『校則がゆるいところが良かった』というのが志望理由だった。