それもキスは一度だけではなかった。
今までこのような夢を見たことがなかったというのに。

あの日キスされて以来、なんだかおかしくなってしまったかのようだ。


「彩葉ー?なにしてるの、早く着替えないと」
「は、はい……!」


由良ちゃんに名前を呼ばれてハッと我に返る。
今は6月に行われる体育祭の練習のため、更衣室で着替えている最中だったのだ。

体育祭の競技に集中しないといけないはずなのに、どうしても悠くんのことが頭から離れなくて。


「なんか、まだ様子が変だよ彩葉。
前と違って悪い意味ではない気がするけど……」

本当に由良ちゃんと美咲ちゃんは鋭い。
私の変化をすぐに察知してしまうのだ。