ときに悲しくて泣き出すこともあったが、そのときはいつも俺を頼ってきた。

彩葉と過ごす時間が一番心地よく、幸せで、楽しいのだと今でも思っている。


「ん……」


彩葉がピクッと眉を動かし、俺にギュッと抱きついてきた。

そんなかわいいことされて、我慢する俺の身にもなってほしい。


あまりにも心を許しすぎだと思うのだが、先日起こした行動が意外にも彩葉を惑わしていたようだ。

彩葉は天然で超がつくほど鈍感であるため、てっきりキスぐらいでは意識しないだろうと思っていた。