「……っ」


タイミング悪く、帰り道で悠くんと会ってしまったのだ。

しかも彼は私服姿で、手にはスーパーの袋がぶら下げられている。


「ど、どうして悠くんが……」

「なんでって、親に買い物を頼まれたんだよ。
そんな顔すんな、普通に傷つく」

「あ、えっと……」


悠くんは当たり前のように私へと近づいてくるけれど。


「じゃ、じゃあね悠くん……!」
「……は?」


それすらも私は耐えられなくなり、悠くんから逃げ出してしまう。

そんなの無理だ、悠くんといつも通り接しろだなんて。


昨日のようなことがあった今、いつも通り接するなんてできない。

遠くで悠くんに名前を呼ばれたけれど、初めて私は悠くんの前から逃げ出してしまった。