今度こそ席に戻るときに悠くんを睨んでやろうと思ったけれど、なぜか彼はひどく優しい眼差しを私に向けていて。
ドキッとしてしまった私は、目的を忘れてしまう。
やっぱりおかしい。
悠くんじゃなくて、私が。
「正解で良かったな」
「教えてくれて、ありがとう……」
少し俯き加減でお礼を言い、椅子に座る。
悠くんを見る余裕がなくて、顔を上げることができなかった。
変なの、私。
昨日のことがずっと頭に残っていて。
悠くんにしてやられた気分だ。
それでもなんとか無事に授業を終え、周りから不審に思われることはなかった模様。
むしろ私を心配してくれる声ばかりだった。
みんな悠くんのことを怖がっているからだろう。
悠くんは怖くないと言いたいところだが、そんなことを言えば怪しまれてしまう。
ここは黙って口を閉じ、曖昧に頷いていた。



