すぐにお願いしようとしたけれど……。
「別に、俺が教えるからいい」
なぜか悠くんが断ってしまう。
これには美咲ちゃんもびっくりした様子。
「教科書見せてもらってるからな、そのお礼」
「え、あ……」
「お前、最初から話聞いてなかっただろ」
悠くんが厳しい、ぜんぜん優しくない。
さらに私のことを“お前”って。
いくらバレないためとはいえ、せめて苗字で読んでくれたらいいのに。
「おい、聞いてんの?」
「……っ」
私が話を聞いていなかったからだろう、悠くんが私の頬を軽くつねってきた。
突然触れてきたことにおどろいた私は、ガタッと音を立てて立ち上がってしまう。



