「こんなかんたんな問題、わからねぇんだ?」
「うっ……」
思わず『ひどい!』と言いかけたけれど、グッと堪えて我慢する。
本当にあぶない。
油断したら終わりだ。
「清水、そんなひどい言い方するんだね。
渡辺さん、なにも悪くないのに」
「あたしもそれ思った!
清水ってサイテーだよね」
岸田くんと美咲ちゃんは私たちの会話を聞いていたようで、ふたりが会話に入ってきた。
そのおかげでなんとか救われる。
「この単元の初歩的な問題なのに、わからねぇとかバカだろ」
「……っ」
「うわっ、清水って顔がいいだけで性格最悪。そりゃ彼女たちにもフラれるはずだね。彩葉ちゃん、あたしが教えてあげる!」
「ほ、本当……!?」
美咲ちゃんが女神様に見えた。
私の救世主である。



