「じゃあ該当者は問題を解き次第、黒板に回答を書くように。もちろん途中の式もだぞ」


あ、これは終わった。
バカな私に数学を理解しろというほうがおかしい。

こうなったら恥ずかしいけれど、手をあげて先生に教えてもら……。


そのとき、ハッとした。
そうだ、今私のすぐとなりに悠くんがいるではないか。

ここは彼に頼もうと思ったけれど……。


「……っ」

ダメだ、家ではないのだから悠くんに頼めるはずがない。
周りに怪しまれるような行動をとることなどできない。