「本当?熱は……ないね、大丈夫そうでよかった」


岸田くんは相当心配してくれているようで、自分の手を私の額に当ててきた。

少し冷たくてヒヤッとしたけれど、安心してくれた様子。


「心配してくれてありがとう……!
本当に大丈夫だよ」

「……渡辺さんは、触られるの平気なんだね」
「えっ……?」


目を丸くした私に対し、岸田くんはなぜか満足気で。
どうしてそんな表情をしているのか、私にはわからなかった。


それにしても、岸田くんは優しいな。
今の悠くんはぜんぜん優しくないから、少し安心感を抱いてしまう……なんて。

ダメだ、ダメ。
岸田くんと話すだけで、周りからなんて思われるかわからない。


立場を考えろとか、格が違うだとか。
そんな風に思われるかもしれないから。