その後も何着か着て私のベストな組み合わせを見つけた。


黒羽くんは私が選んだ服をたいそう気に入ったらしく、値札を切ってもらって早速着ていた。



「いやぁ、いい買い物が出来た。サンキュ、さあや」


「こちらこそなんか一杯買ってもらっちゃって...。ありがと」



黒羽くんは1万円コーデ以外にも私に気づかれないようこっそりと手袋と家事用のトレーナーとジーパンまで買ってくれた。


会計済みだから遠慮することも出来なかった。


私が断ることを分かっててそうしたのだろう。


本当に意外と鋭い人だ。



「そろそろ昼飯の時間だな。おれは基本的に嫌いなものばっかりだからさあやが決めてくれ。さあやに言われたものなら何でも食う」


「フードコートだっけ?そういうとこでいいよ」


「元お嬢様がフードコートでいいのか?」


「失礼ね。私のお嬢様生活はとっくに終わってるの。選り好みしてられないんだから何でも食べるよ」


「ふ~ん。じゃあ、フードコートに向かうか」