「泣いてる所初めて見たわ」


俺は、弱い人間。強くなんかない。でも泣かないようにしてる。泣くとカッコ悪いから。


でも抑えられないんだよ。


今は泣きたいんだ、思いっきり泣きたい。


美紀ちゃんは黙ってティッシュ箱を出してくれる。


遠慮無く泣いて涙を拭いてまた泣いて拭いて、


の繰り返し。


「俺、どうすればいいわけ」


率直な疑問。もうどうすればいいか分からない。


選択肢が1つに絞れない。


俺は18なのにこれが初めての恋愛でただ俺の想いを何も考えずにずっと美波に向けていた。


好きだから一緒にいる。


それが当たり前だと思った。


うまくいかない場合もあるんだな。


でも別れる必要ある?辞めたら俺らは生徒と教師という関係性は消えるんだからいいじゃないか。


「意外と美波ちゃんは変に真面目でバカな部分あるのね」


「なんだよそれ」


「私の予想だけどね、美波ちゃんは自分のことこれっぽっちも考えてない。美波ちゃんの行動は全て西野くんのためよ。西野くんに対してベストな行動をしたのよ、それが西野くんが嫌がっても別れることになっても、、好きな人のためにね」



美紀ちゃんの言うことは当たってる。美波ちゃんは好きで好きなら最後まで貫けばいい。別れることなんてしない。でも別れようとハッキリ言った。それは、俺のため………



まだ俺には理解出来ないけど、俺のためなんだろう。


「これからを決めるのはあなたよ、じっくり考えなさい」


「ありがとな」


保健室の窓から見える太陽は地面が雪だからか眩しく見えた。その後ろに美波がいるような気がした。