「おい、なにも聞いてねえのか」


奏や宏ちゃん、晴翔が一斉に俺のところに来る。


なにも聞いてない。普通に美波と会ってたし様子がおかしいとなんて思わなかった。


このタイミングで学校を辞めるなんてあきらかにおかしいだろ、あれだけ俺の隣を離れないと言っていたのに、絶対何かがあった。


それは間違いない。


「ちょっと俺行ってくるわ」


向かったのは保健室。


「美紀ちゃん、美波が学校辞めたんだ、何が知らない?」


美紀ちゃんは黙ってる。いつも笑って話してくれる美紀ちゃんが。


もっと疑ってしまうだろ。


「何があったんだよ」


「私は他の先生とは違うの、生徒と教師でも恋は応援するわ、でもバレたのよ美波ちゃんとあなたとの付き合いが。」


「……は?」


「これは聞いた話だけど、美波ちゃん、あなたの卒業を約束する代わりに自分は辞めても構わないって言ったらしいわ」


「……美波、バカだろ…」


これが俺を守ることとして美波がやったこと?


なら大間違いだ。


「俺は学校辞めてもいい、でも美波は……」


「学校やめたら大学合格取り消しになるのよ?美波ちゃんはそこまで考えたはずだわ」


「美波から何か聞いてない?」


「……手紙預かったわ、何が自分のためになるのか、美波ちゃんのためになるのか考えて」