ただ西野くんが好き。






朝10時。カーテンしてても日差しが重い目に入ってくる。


今日は天気がいい、気持ちは重いけど。


今日で3日間の休みも終わり。でも颯とは学校で会えるからいいっか。


「綺麗……」


颯の横顔がすごい綺麗。顎削ったの?ってくらいに輪郭が細くて肌も荒れてないしずっと見ていられる。


会うか会わないか颯が寝てる間も考えていた。


結論は会うことにした。


無視しても会おうと言い続けるだろう。それくらいなら1回会って絶対に連絡をよこそないでと強く言えばいい。


顔洗って着替えて出かける。颯はまだ寝てる。


メールで「用事があるから出かけてくる」と送りカフェに行く。


何百回も裕太と行って勉強したり話をしたり、楽しかった記憶がある場所。でも今となっては少し苦い。アイスコーヒーのブラックみたいな感じ。


カフェに向かうと裕太は既にいた。


手を振って待ってた裕太。


相変わらず身長は高くて、前より少し筋肉がついてる気がする。


「元気だったか?」


「…うん」


「昨日フランスから帰ってきたんだ、すぐに会いたかった」


「…そっか、建築家になったの?」


「おう、企業に就職したよ」


「よかったね」


裕太の目を見ないでテーブルに置いてある水が入ってるコップを見続けいている私。


見る勇気がないと言うか、見たくない。


淡々と返事するだけ。早く言いたいことを言って帰ろう、それしか頭にはなかった。


「美波」


「…なに?」


「復縁しないか」


コップから裕太に目線がずれた。それもそうだ。いきなりすぎる。


「…………なにいってるの」


「やっぱ美波が好き。離れてから気づいた。」


「別の好きな人出来たんでしょ、その人と幸せになってよ」


「すぐ別れたし、美波がいいんだ、俺には美波しかいない」


「私、彼氏いるの、裕太よりカッコいいし頼れる彼氏がいるから、2度と連絡してこないで」


私は強く言って席を立った。


「また連絡する」


裕太は私の目を見てそう言った。一瞬たりとも逸らさない。


「2度連絡してこないで」


私はそそくさとカフェから出た。今の気持ちは本当に苦いカカオ80%くらいのブラックコーヒー。