勉強も普通。
スポーツも普通。
人間関係も普通。

そんな僕が唯一自慢できることは“ゲーム”だ。

そんな僕
【七瀬牙紅:ななせがく。高校2年】
はある日道でゲームカセットを拾った。
_______
トットットットッ

学校の帰り道、いつもとように同じ通学路を歩いていた。

人の歩く道、鳥が鳴く街、車が走る道路、何処となく綺麗と言える街では無い。

僕は大人になったらこの街から出て行く。

この街は住みやすしい人も良い人ばかり。

でもやっぱりあんなことがあったから.....

そんな事を考えながら俺は道を歩く。

(ごく普通の毎日。つまんねぇ〜なんか面白いこと起きないかねぇ〜)

そう心の中で思ったが矢先。
1個前の電柱の下に見える四角く黒い物体。

(なんだあれ?)

僕はその黒い物体に引きずり込まれるかのようにその物体の方へ足を進めた。

俺の足元に見えるのは...

「ゲームの......カセット?」

小学生ぐらいの頃、親が共働きで一人でいる時間が多くなった。

そんな僕は誕生日に母親からゲームを買ってもらったのがきっかけ。

最初は何処となく暇つぶしで遊んでいただけだった。

だが、どんどん遊んでいくうちに僕の心に火がついた。

ゲームの面白さに気づき今では大会に出る程の腕前の持ち主。

そして今に至る。

(道端にゲームカセットかよ、誰がどうやったら落とすんだよ)

俺は足元に落ちているカセットを拾い上げた。

何処となく怪しい所はなく今どき普通に売ってるカセット。

だが、

一つだけ怪しいと言ったら、

【貴方に選択肢はありません】

という題名。

ゲームは敵をやっつけたり人と繋がったりゲーム内の友達を作ったりと色々あるがこのゲームは違う。

題名を見る限り選択肢ゲーム。

だが、その選択肢は貴方にはない。

(ゲームとして成立するのか?)

そう思ったがやっぱりゲーム好きの俺からしてプレイしずにはいられない。

僕はそのカセットを拾い上げた。

そして、バッグにしまい家に帰った。
_______
ガチャ

「ただいま」

シーン。。。

(はぁ、)

誰も居ないと分かっているのにやっぱりどこか寂しい。

そんな事を思いながら俺は階段を上がり自分の部屋に入った。

「よいしょっ」

いつものようにテレビゲームの前の座布団に腰掛けた。

テレビ下のミニタンスからさっき拾って来たカセットに合うゲーム機を探した。

「一応、よく見るカセット型だから...この辺に.....お!あった」

俺はそのカセットをゲーム機に差し込みテレビゲーム画面を見た。

ザザッ....

雑音が流れる。

するとパッ!と俺の目の前に宙に浮かぶゲーム画面がが現れた。

「うおぉ!」

思わず後ろに倒れてしまいそうだった。

だって、宙にゲーム画面が浮かんでるんだから。

「え、いや状況が理解できないんだけど。」

混乱する俺の目の前ではゲーム画面は開いたまま。

まるで画面の先で誰かが俺を見ているかのように。

僕は画面をじっと見つめる。

ゲーム画面にはこう書かれてあった。

ゲームをプレイしますか?
[はい]
[いいえ]

僕は浮かぶ画面に手を伸ばした。

ゲームをプレイしますか?
【はい】
[いいえ]

「あっ、」

つい、いつもの癖で[はい]を押してしまった。

すると、

『貴方のお名前をお下記下さい』

そのゲーム画面から機会ボイスが流れた。

「宙に浮かべば喋りもすんのか、すげぇ〜」

俺は興味深々でその画面に僕の名前を記入した。

『七瀬牙紅様ご登録完了致しました』

パッ

そう一言言ってゲーム画面は消えた。

「は?え何、どうゆうこと?」

スっ。

「牙紅様で御座いますか?」

バッ!

急に後ろから聞いた事のない女性の声が聞こえ僕は後ろを振り返った。

「うわぁ!だれだよ、おまえ!」

後ろには全身白色に包まれた女が立っていた。

目元は白い布で隠されており口元だけが見える状態だった。

その直後口が動く。

「私は牙紅様の助手で御座います。ですが助手と言ってもゲームの説明や攻略法を教えるだけとなっているのでゲームのお手伝いは出来ません。何か質問があればどうぞ」

その女性は助手と名乗った。

質問なんて聞きたいことは沢山あったが最低限に納めた。

「助手さんの名前は何て言うんだ?このゲームは何?選択肢がないってどうゆうこと?助手さんは何者?どうやってこの部屋に入ってきたの?」

一番聞きたいことについて話してくれればそれで良い。

「私の名前は御座いません。主人様が決めるのです。このゲームは現実に起こる事を選択肢を使ってクリアして行くゲームです。選択肢がないと言うことは後でお話しします。私が何者かは名乗ることはできません。私は実際には牙紅様のお部屋に入って来ていません、プログラムで映像を送っているだけです。」

その助手さんは色々と答えてくれた。

まず、助手さんの名前は主である俺が決める、いわゆるゲームのキャラクターみたいなものだろう。

そして、現実に起こることを選択肢を使ってゲームをクリアしていく。

『選択肢がない』という題名は教えることが出来ない。

助手さんが何者か名乗ることは出来ない。

そんで、俺の部屋に実際助手さんは居なくて何処かで助手さんのプラグラムを送っている。

でも、現実に起こることを選択肢を使ってゲームをクリアしていくのに、選択肢がないってどうゆうことだろう?

そもそも、現実に起こることって言うことは現実とこのゲームはリンクしてるってこと?

「ちょっと、待ってください。俺の頭が追いつきません」

「今は混乱していても後に慣れてきます」

そう助手さんが言った途端玄関の扉がガチャとを開く音がかすかに俺の耳には聞こえた。

勿論こんな時間、親が帰ってくる訳でもない。

じゃあ一体誰が。

「牙紅様、もう既にゲームは始まっています。選択肢を選んでください」

「え?!どうゆう事?」

その途端また俺の目の前に宙に浮いたゲーム画面がでてきた。

その画面に書かれていた文字に息を飲む。

包丁を持った強盗犯が玄関にいます。
後に牙紅様の部屋に入ってきます
どうしますか?
[A窓から逃げる]
[Bタンスに隠れる]
[C勇気を持って戦う]
[Dそのまま]

“包丁、強盗犯”。理解がまだ追いついてない。

「え、何もしかしてだけど俺に選べって言うの?」

「左様で御座います。そうしなければ死んでしまいます」

死ぬ?嫌だよ、まだ生きたい。

だからと言って選択肢を間違えれば普通のゲームと同様死ぬんじゃないのか?

そこで考えた。

もし、Aの場合窓から逃げたとしてもここは2階だし、骨折で済むかもしれないけど万が一の場合死ぬ可能性がある。

Cの場合包丁を持った奴に勇気を持って戦うなんてそれこそ自分から死にに行ってるもんだ。

Dの場合そのままここにいても、俺の部屋には結局入ってくるわけだし死ぬかもしれない。

俺はゲーム画面に手を伸ばした。

包丁を持った強盗犯が玄関にいます。
後に牙紅様の部屋に入ってきます
どうしますか?
[A窓から逃げる]
【Bタンスに隠れる】
[C勇気を持って戦う]
[Dそのまま]

俺は迷った挙句Bを選択した。

すると、辺りが暗くなった。

(タンスの中?)

俺はタンスの中にいた。

その途端バン!と扉が開いた。

俺は息を飲む。

隙間から見えるのは黒いマスクをつけて、サングラスをかけ包丁を持った男の人がいた。

その男は5分近く俺の部屋を漁った。

俺はバレないように手で口を押さえて、冷や汗が垂れる中ずっと耐えていた。

その時男の足音が徐々に。こちらに近ずいてくる。

タンスを漁る気だ。

(来るな!来るな!来るな!)

俺は心の中で無我夢中にそう叫んでいた。

ガっ!男がタンスに手を掛けた。

スーとタンスの扉が開きそうになる。

(あ、俺死ぬのかな?このまま包丁で刺されて。まだやりたいことあったのに、俺の人生こんなものなのか)

そう思ったその時、外からパトカーのサイレンが聞こえた。

男はその音に気づき俺の部屋を慌てて出ていった。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

気づいたら俺は汗まみれだった。

急に緊張が解けて安心したのか俺はそのまま放心状態だった。

タンスの扉が開く。

「牙紅様、おめでとうございます。1ステージクリアです」

は?1ステージクリア?こっちは死にかけたんだぞ。

「あの!こっちは死にそうだったんですけど!何なんですかこのゲーム!?」

「そうですね。では今からはゲームについて話したいと思います」

俺は心を落ち着かせタンスから出て話を聞くことにした。

「まず、このゲームは最初に言った通り現実に起こることを選択肢を使ってゲームをクリアしていくものです。勿論死ぬ可能性は100分の80くらいあります。ですが、ゲームというものは死んでしまったもうプレイ出来なくなってしまう、死んでしまったらゲームは終わってしまう、そんなの楽しくありません。なので、ゲームにはセーブポイントやもう一最初からという選択があるのです。それと同じでこのゲームも死んだら巻き戻しです。」

このゲームで死ぬ可能性は100分の80?

半分より死ぬ可能性が大きいのか。

そりゃぁゲームは一回死んでもうプレイ出来なくなったら楽しくはない。

だがこのゲームの場合もし、セーブポイントまで行くことが出来ず死んでしまったら、一からやり直し?

巻き戻し?

そんな事出来るのか?

いくらこの人が凄い人だとしても時間を巻き戻すんだろ?

そんな事今の技術で出来ることなのか?

そもそもこの“人”は人なのか?

それとも得体の知れない...

いや、考えるのは止めよう。

「じゃぁ、さっきみたいな事が今から起こるのか?」

そうゆう事だよな。

さっきあの人は『おめでとうございます。“1ステージクリアです”』って言っていた。

1ステージってことはこの意味不明なゲームは何ステージかまである。

(あぁぁぁ!!こんなゲームカセットやっぱ拾うんじゃなかったぁ!!そもそもおかしいよね。だって普通、道端にゲームカセットなんて落とさないよね!?はぁ〜、しくじった。)

「そうですね。ですがさっきみたいに全てが危険なゲームではありません。」

全てが危険なゲームではない?

て事はさっきみたいな『包丁を持った強盗犯』見たいな危険な人や危険な事は全てのゲームのステージでは、ないってことか?

「じゃあ、危険なステージ以外に何のステージがあるの?」

「それは教える事はできません」

じゃあ、さっきみたいな思いはたまにするってことか、、

それでも、俺には十分負担だった。