「1人?彼女は?」
「多分飼育小屋」
「だから1人で飯食ってんの?」
寂しいねぇ、と言いながらりいなが向かいの席に座った。
「そっちこそ、彼氏は?」
「は。誰よ彼氏って」
「悠月だよ。付き合ってるんだろ」
「付き合ってない!」
そうなのか。
付き合ってるのかと思ってた。
「それよりも! テストの点数全部クラス最下位らしいんだって?」
「どうやらそうらしいな」
「他のテストも最下位だったらどうすんだよ!」
こいつは成績がいい。
いつも学年5位以内に入っている。
「大丈夫だよ。赤点じゃあないんだし」
「もっと勉強しないと駄目だぞ」
「放課後用事があるんだ」
うららとデート、そう言うとりいなが呆れたような顔をした。
りいなの顔は整っているけど、結構気が強そうに見える。実際気が強い。
まぁ、顔の良さでいえば悠月の方が上だ。
「しっかりしろ学級委員長」
頑張るよ。

「全部最悪だったってな」
職員室へ届け物をした後、飼育小屋に行こうとしたら古宮悠月が話し掛けてきた。
「全部クラス最下位だった」
「平均的下がったのは、愛希とうららのせいか」
「多分そうだ」
りいなと争うくらいには悠月も成績がいい。
悠月は生徒会に入っている。もちろん中等部の頃から。
別に生徒会だから成績がいいとかそういう訳では無く、本人の努力だろう。
3組の馬場なんか、生徒会役員だが下から数えた方が早い。
「もっと勉強した方がいいって。今日もうららとどっか行くんだろ。2人でテストの解き直ししてみたらどうだ」
「そうは言われてもなぁ。俺達はまだ高校1年生。自由にできるときは自由にしたいんだよ」
「そうかよ。じゃあ、もう生徒会室に行くから」
「ああ、頑張れよ」
悠月と別れて飼育小屋の方へ歩き出す。
そういや、りいなと本当に付き合ってないのか聞きそびれた。まぁ、明日でいいか。
悠月は顔がいい。クラスで1番だと思う。
なんというか、ワンレンの似合う美人だ。
顔はつり目でりいなと同じで気が強そうだ。

飼育小屋につくとうららが柵越しにうさぎと見つめていた。