「去年の夏休みにオレは、今オレと梓が行っている大学のオープンキャンパスに参加した」


 光くんも参加していたんだ。


「オレは、そのときはまだ特にどこの大学に行きたいとか何も考えていなかった」


 そうだったんだ。


「オープンキャンパスに参加したのも、担任の先生に大学に進学希望ならオープンキャンパスに参加しておいた方がいいと言われたからだった」


 私も担任の先生に同じことを言われた。


「だからオープンキャンパスに参加をしたときも、ただ形だけ参加をしているだけで真剣な気持ちではなかった。そのときまでは……」


 ……?

 そのときまでは……?


「オープンキャンパスの参加に真剣な気持ちではなかったオレの目に飛び込んできたんだ」


 ……?
 飛び込んできた……?
 何が……?

 ……⁉
 ……光くん……?

 光くんは私の目をまっすぐに見つめた。

 私の目を見る光くんの目力はとても強くて、光くんにまっすぐに見つめられた私は光くんの目を少しもそらすことができない。
 私は光くんのその目力に動きを止められたかのようにそのまま光くんの目を見続けた。


「梓、君なんだ」


 ……え……? 私……?


「梓はそのとき友達と二人で来ていたよね」


 うん、侑子と来ていた。


「オレ、そのとき、たまたま、すぐそばにいたんだ」


「そうだったんだ」