光くんはそう言って黙ってしまった。


「……光くん……?」


「…………」


 光くんはまだ沈黙していた。

 私は光くんに声をかけた方がいいのか迷ってしまった。
 すると……。


「あのときね……」


 光くんは再び口を開いた。


「あのとき……君に紙飛行機を当てちゃったあの日、本当は『当てちゃった』じゃなくて『当てた』んだ……」


 ……え……? ……当てた……?


「え……?」


 それは……?


「……実は……君に会ったのは……あの日が初めてじゃないんだ……」


「え……?」


 私は驚きのあまりなかなか言葉がでなかった。


「正確に言えばオレが一方的に君を見かけたと言った方がいいのかな」


 ……見かけた……? 私のことを……? いつ……?


「オープンキャンパス」


「え……?」


「梓を初めて見かけたのは去年の夏、オープンキャンパスに参加したとき」


「オープンキャンパスに……?」


「そう」


「それって今、私たちが行っている大学の……?」


「うん」