私は足早に隼翔のもとを離れた。

 私はとにかく隼翔のもとを離れることに夢中だった。

 私はそのことに夢中で全く周りが見えていなかった。すると……。


「梓‼」


 ……え……。

 ……光……くん……。

 そうだった……光くん……。

 私……。

 私……隼翔のことで混乱していたせいか、光くんと一緒に帰っていたことを……。

 ……光くん……。

 私は光くんの手の温もりを感じていた。

 光くんは私の手首をつかんでいた。


「梓……」


「……光くん……」


「……どうしたの? 梓……」


「……え……」


「なんか急に血相変えて早歩きしだしたから」


「……えっと……それは…………」


 私は何て答えようか困っていた。


「あの人、梓の知り合い?」


「……あ……あの……えっと……彼は幼なじみなの……」


 私はまだ動揺していた。


「そうなんだ」


 そう返事をした光くん。

 ……お願い……光くん……。

 お願いだから……これ以上、隼翔のことを訊かないで……。

 私はこれ以上、隼翔の話はしたくない……。


「……梓……」


「……うん……」


 私は光くんにこれ以上、隼翔のことを訊かれないか心配だった。