死ぬのは溺愛のあとにして?【加筆終了1/1】


そして、左手の甲に柔らかな唇をあてたまま


「あすみ⋯⋯僕のお嫁さんになって」


サラリと、とても大切なことを口にした。


「⋯⋯え?」


聞き間違え?

思わず聞き返してしまった。

だけど私を見下ろすのは、真顔だけど真摯なアーモンド型の瞳で、彼の気持ちが本物であることが知らされる。


富丘くんは、本気だ。


もちろん、嘘なんか言う人じゃないのは知っていたけど、あまりにも唐突で腰を抜かしそうだった。

けれども、どんな難題が振りかかろうと『富丘くんにぜんぶあげるよ』と約束した私は、それに応えると決めていた。


「⋯⋯富丘くんは、それでいいの?」


念の為、彼の決意を再確認してみると


「君の未来が欲しい。今は、ただの同期としか思えないかもしれないけど。でも⋯⋯君に好きになってもらえるように頑張るから、傍にいてほしい」


胸を撃たれるほど真っ直ぐなセリフで返されてしまった。


「富丘くん⋯⋯」


そして、さらに続いた。


「この恋が終わりかと思っていた僕の前に⋯⋯生死を迷う君が現れた。僕は、これを運命だと思ってる」

「運命⋯⋯?」