それに、身投げなんて、褒められたことじゃないのは百も承知。

だから咎められるのは当たり前のことなのに、彼に対して、怒りがこみ上げたりして。

でもその次に現れた感情は、心配しているであろう彼に、申し訳なくなったりして。

さいごには、彼なら私の話しを聞いてくれるんじゃないかという甘い期待が募ってしまった。


何なんだろう、この気持ちは。


わからない。


暗闇に突如差し込んだ光が心の中で暴れまわっていて

そう。

ミキサーでぐるぐるかき混ぜられているような感じ。


ザワザワする。


しだいに喉の奥から熱いものが、グッとせり上がってきて、瞳の中に膜がはりだした。


あぁ⋯⋯肩から力が抜けていく。


縛り付けられてたものから、一気に解放されたような感覚に陥って、


胸が熱くなる。


でも、嫌じゃないの。


もしかしたら弱虫な私は、誰かに寄りかかったのかもしれない。


はじめから、それを望んでいたんだろうか?



「っ⋯⋯うっ⋯⋯」


さっきまで身を潜めていた涙が、ダムが決壊したかのようにポロポロとこぼれてきた。


昨日まではもっと強かったのに。

仕事も私生活も、問題なかったのに。

こんなに弱くなんかなかったのに。


ブルブル震える身体を必死に抑えていると


「⋯⋯君はひとりじゃないよ。もっと周りを頼って」


柔らかい声とともに、富丘くんのしなやかな腕が、後ろから私の身体を包み込んできた。