「由希ちゃん、ここを使ってね。」

絵里加のママに 案内された部屋は、元々 絵里加が 使っていた部屋。
 

「わあ。素敵。全部このまま 使ってもいいの?」


由希の弾む声に、絵里加のママは 笑顔で頷く。
 


「絵里ちゃんのお古で 悪いけど。絵里ちゃんも とても喜んでいるわ。」
 

「由希ちゃん、お姫様みたいね。家から送る物 よく 確認しておくのよ。」

母が言う。
 


憧れた生活。


これから始まる 夢のような生活に 由希は 不安も寂しさも 感じていなかった。