「俺、しばらく 彼女の部屋に 住もうかと思って。」


壮馬は 思い切って 言ってみる。

父と母は また顔を見合わせた。
 

「それなら 早めに 広い部屋に 引っ越ししなさい。でも壮馬。その前に 相田さんのご両親に 挨拶をしないと駄目だよ。」

父に言われて 壮馬は 夏美の言葉を思い出す。
 

「そうだよね。」

壮馬が 静かに答えると 母はクスクス笑う。

問いかける目の壮馬に
 

「パパ、自分が お祖父様に 言われたこと そのまま 言っているから。」

と母は答えた。
 

「そうなの?パパも?」

壮馬は 少し嬉しくなって 母を見る。
 

「そうよ。ずっと ママの 狭いアパートに居て お祖父様に 叱られたの。」

懐かしそうに 話す母を 父が咎める。
 

「ママ。余計なこと 言わないで。」と。