「私、壮馬君より年上だし。実家は貧乏だし。美人じゃないし。料理も上手くないし。」

夏美が 否定的な言葉を言うと、
 

「それから?」


と壮馬は 優しい笑顔で 先を促す。
 


「それに 歌も下手だし、運動も苦手だし。あと 足も太いし、胸も小さいし。」


夏美が 言い淀むと 壮馬は 夏美を 抱き締めた。
 


「でも もう俺と 離れるの 嫌でしょう。」

と言って。


夏美は 壮馬の胸で 頷いてしまう。
 


「俺も。ナッちゃんと離れるの 嫌だ。」


夏美は 驚き過ぎて 壮馬の胸に 抱き付いて 震えていた。
 


「大丈夫。二人一緒なら。何も 怖くないからね。」


壮馬は 震える夏美を、ずっと 抱きしめていてくれた。