「相田さん 家のことを 心配しているから 言うけど、俺 相田さんと 付き合いたいって 父にも 話したから。」


レストランを出ると 壮馬は 少し車を走らせて 広い公園の 駐車場に 車を停めた。

壮馬の後を 付いて歩く夏美。

壮馬は ベンチに 腰を下ろして言った。
 


夜の公園は 静かで、でも 所々に 人影が見える。


公園は レストランや 車の中のように 閉塞感がなくて 夏美は 少しホッとしていた。
 

「お父様、反対したでしょう。」

壮馬の隣に 腰掛けて、夏美は 横を向いて聞く。
 
「全然だよ。親父、大賛成で。応援されたよ。」

壮馬の口調は、さっきよりも くだけてくる。
 


「まさか。」

夏美が 驚いた声を出すと、壮馬は 心地よい声で笑った。
 

「俺、人を見る目があるって。グズグズしていると 他の人に 取られるよって。父に 煽られたよ。」

壮馬の言葉が 信じられなくて、夏美は 大きく 目を見開く。
 

「嘘でしょう。」

と言う夏美の手を 壮馬は そっと握った。