壮馬と 恋愛なんて できるわけがない。



だから夏美は 壮馬を 男性として 意識しなかった。


毎日 近くに居て 壮馬の優しさを 知っているから。



もし 思いが叶うなら 壮馬は 最高の恋人だと 夏美は思った。
 


「辛い思いなんか させないよ。好きなんだから。」


壮馬の言葉は 胸に沁みて、夏美の目は 潤んでくる。
 



「食事しよう。温かいうちに。」

壮馬は 空気を 変えるように言う。
 

「胸がいっぱいで、食べられません。」

夏美が ポツンと言うと、壮馬は 優しく微笑んだ。


壮馬に促されて、夏美は フォークを取る。


一口食べて、
 
「美味しい。」

と夏美が言うと
 

「ほらね。」


と壮馬は、いたずらっぽく笑った。