壮馬が 入社して3年目。


研究室は 変わらないメンバーで 続いていく。

退職する人が いない年は 補充がない。


20名足らずの 固定した人員は、お互いの 得意分野も 把握できて 仕事の効率が良い。
 


「すみません。相田さん。仕事の後 少し時間をもらえますか。」


4月中旬の昼休み。


夏美は 壮馬に 声を掛けられた。
 

「はい。大丈夫ですよ。」


仕事の話ししか したことがない二人。

夏美は 当然、仕事の話しだと思って 返事をする。
 

「じゃあ、6時頃に 駅中のカフェで 待っていますので。」

壮馬の表情が 少し堅いことに、夏美は その時に気付いた。
 

「えっ。外で、ですか?」

意外に思い 聞き返す夏美。

壮馬は頷いて
 

「はい。お願いします。」

と言った。
 

「わかりました。」


夏美が頷くと 壮馬は 少し表情を緩めて 立ち去った。


壮馬に 外で呼び出される理由が 夏美は 思い浮ばなかった。



社内では 話しづらいことなのか。



まさか 壮馬から 告白されるとは、全く 思わないまま 夏美は 午後の仕事に 集中していった。