「新太!」





「チッ」


こちらへ駆けてくる足音と
涼太の大きな声が聞こえて


囚われていた身体が解放された


涼太が目の前まで来たところで
サッと隣から立ち上がった新太は


「じゃあ、眞子先輩また」


私の頭をポンポンと撫で
涼太にも「じゃあな」と声をかけて


ゆっくり遠ざかって行った




「フゥ」




息苦しさを漸く吐き出せた気がして
何度かそれを繰り返す


そんな私の目の前に蹲み込んだ涼太は


「眞子先輩、新太が何か・・・」


そう言うと不安そうな目をした


「・・・うぅん、違うの、あの
あれよ!眞子先輩小さくなりましたか?って
涼太みたいに大きくなったからって馬鹿にされてたみたいなの
ムカつくから睨んでやったんだけどね
たった三年で成長が早くない?
早いよね?涼太も新太も、他も?
男の子の成長って凄いね」



一気に吐き出して
急に我にかえる


・・・なんで言い訳みたいなこと


視線を絡ませたままの涼太は
そのまま立ち上がると隣に座った


「・・・涼、太」


急に肩を引かれて抱き寄せられた身体は一分の隙間もないほどで


涼太の胸に当たる耳からは
私より早い涼太の鼓動がリアルに響いてきた


「・・・・・・つく」


「ん?」


「俺の眞子先輩に触れやがって
新太・・・ムカつく」


「・・・へ?」


少し早口な言葉を理解するより早く
涼太は抱き締める力を強くした


「・・・キャ、っ」


苦しくてもがく私の頭の天辺に
チュッと大きめのリップ音がした