「さあ、着いたぞ」
彼が私に手を伸ばし、私がその手を取ると、そのまま抱きかかえて私を馬から降ろしてくれた。
あれ、なんか違う…
私を木陰に連れて行ってくれた時と手の感触が違う気がした。
でも顔は同じだし、あんな一瞬のことだったんだから、違うって感覚が間違いだなと思って、私はそのまま彼について行った。
「さあ、ここに入りなさい。今父上を呼んでくる」
彼は私を広い部屋に案内すると、そう伝えてどこかへ行ってしまった。
広い部屋に一人。
部屋を見回しながら、緊張とタイムスリップしたのかもしれないという変な焦りで心がいっぱいになる。
少しの間部屋の隅の方で座っていると、障子が勢い良く開いた。
その音に少し肩を動かし、障子の方を見る。
「連れてきたぞ」
彼がそう言って微笑むと、その後ろから、彼より少し背が低く年の取った色気のある男の人が顔を出した。
多分、これが彼のお父さん。


