「……。」

伊江宗さんに見抜かれて、私は何も言えなくなった。

もう変に言い訳はしない方がいいと思った。


「…違います、帰りたくないから言わないわけじゃない。ただ…こうやって過ごしている時間が楽しくて、言いにくかった。だって、本当のことを知ったら、ここでこんな風に話すこともないだろうから」

きゅっと唇を噛み締める。

いつの間にか、伊江宗さんや佐江宗さんと過ごす毎日が私の癒しで、ここを自分の居場所にしたいと思うようになってしまっていた。


「ごめんなさい、黙ってて…」

「…最初から、帰り方は分かっていたのか?」

「まさか!最初は本当に知らなかったし、タイムスリップしたことすら分からなかったよ!」

「では、いつ知ったのじゃ…?」

「知ったというか…ここに来た日、夜に寝てから、朝起きると未来に戻っていたんです」

「朝起きると?しかし、お主は今もここにおるではないか」

「そうなんだけど…えっと、なんていうか……」