障子が閉まる音を聞き、伊江宗さんが部屋を出て行ったのを確認すると、私は起き上がって、月の光で照らされた伊江宗さんの影を障子越しに見つめた。



眠れない夜は、一人、何を思っているのだろう。

前も同じようなことを思ったななんて思いながら、彼の姿に胸をくっと掴まれたように切なくなる。


そっとしておいてあげたいのに、そうした方が良いと分かっているのに、せっかく近くにいるのだから、彼の気持ちを知っているのだから、そばにいてあげたいと思ってしまう。


しばらく自分の気持ちを格闘した私は、意を決して起き上がると、ゆっくりと障子に近づいた。



隣にいるのに、その切なさに、寂しさに、触れないわけにはいられなかった。




「伊江宗さん」

そっと障子を開けると、伊江宗さんがこちらを見て、


「なんだ、起きておったのか」

と、いつも通りの落ち着いたトーンでそう言った。