「まあ、伊江宗がそっちを選んだから、これで嫁取り争いは終わったって感じだな」
「それが新発見……」
知って良かったような、知らなきゃ良かったような、不思議な気分だ。
「じゃあ、もう次の授業が始まるから、俺は行くな」
「あ、はい。ありがとうございました…」
「二つ目の話はまた時間のある時にしてやろう」
先生は自分の好きな話を聞かれたのが嬉しかったのか、珍しくニコニコしながらそう言った。
正直、自分のライバルを知ってテンションは下がっているのだけど、私も愛想笑いを浮かべて、
「ありがとうございます」
とだけ返しておいた。
ライバルか…
これからどんなことが起こるのだろう。
その日は一日、そんなことを考えていた。


