「あ、まあ…結構調べてて…。で、どうして伊江宗さんに惚れていたんですか?」
「さあ?そこまではさすがに記録されていないだろ」
「使えないなあ…」
私は小さな声でボソッと文句を呟く。
「何か言ったか?」
「い、いえ、何も!あっ、それで、そのライバルのお姫様は、結局どうなったんですか?」
「伊江宗は早々にそっちに乗り換えたらしい」
「はっ?乗り換えた?」
「ああ、乗り換えた」
「えっ、あんなに結婚なんか興味ないって顔してた伊江宗さんが?」
「……お前、なんでそんなに伊江宗の性格に詳しいんだ?そんなこと、どの文献にも載っていなかったぞ」
先生が怪訝な目をこちらに向け、私は焦って苦笑いする。
「そ、想像ですよ!双子でお嫁さん取り合うくらい執着してたのにあっさり乗り換えたって不思議だなあ~って」
ヘラヘラとした笑みを浮かべると、先生はまだ疑問を持っている表情をしながらも、それ以上突っかかろうとはせず、話を続けた。


