私が起こった時期が昔の方を聞くことにしたわけは、そっちの方が向こうの世界に行った時、先に起こると思ったからだ。
もうすぐ起こるであろう事実の方を早く知りたかった。
「分かった。ライバルの話だ」
「ライバル?」
「ほら、姫を二人で取り合った話は前しただろ?」
「はい」
「この姫に、なんと、ライバルが現れたんだよ」
「ライバル??」
先生は壁に寄り掛かって、目を輝かせながら嬉しそうに話し始める。
「あの双子にはどうやら幼馴染のお姫様がいたみたいで、そのお姫様がすっかり惚れ込んでいたようなんだ」
「どっちに?」
「伊江宗の方だ。あ、伊江宗っていうのは…」
「えっ、伊江宗さん!?なんでそっち!?」
私は驚いて、つい大きな声を出してしまった。
そんな私の反応に、先生も驚いた顔を見せる。
「なんだ、坂本。双子の名前を知っているのか。あまりネットにも載っていない情報なんだけどな」


