彼は私と一瞬目を合わせたが、すぐにその視線は私の肩に移る。
「その羽織……」
「あっ、これ!返さなきゃって…!ありがとうございました!危ない所を助け頂いて、しかも、木陰まで連れて行ってくれて……」
「木陰…?」
私は早口でお礼を言うと、羽織を差し出しながら深く頭を下げた。
恥ずかしくて顔が熱くなる。
「……ああ、そういうこと」
彼は何か合点がいったようにそう呟くと、羽織を受け取った。
私が顔を上げると、そこには、彼の綺麗な笑顔があった。
「っ……!」
「わざわざ、かたじけない。お主、木陰ということは、どこか怪我でもしているのか?」
怪我しているなんてことは知っているはずなのに、なんてことは、その笑顔に見惚れて思いもしなかった。
「あっ、はい…足を挫いて……」
「そうか。なら、手当が必要だな。城まで来なさい。おい、そこの者。このおなごを馬に乗せてやれ」


