そんなことを考えていると、お茶とお餅が目の前に持ってこられた。
「やったあ!いただきまーす!」
ここは夢の中だけどすごい。
食べ物もちゃんと味がする。
なにもかもがリアリティがあって、まるで本当にこの世界で生きているようだ。
「んっ!美味しい~!」
お餅を一口食べて、美味しさに笑みをこぼしている横で、お茶をぐびっと一口飲んだ伊江宗さんが口を開く。
「ところで七瀬、この二週間で何か手掛かりは見つかったのか?」
「手掛かり?なんのー?」
夢の中だったら、やっぱり食べても太らないのかな?
だったらいくらでも食べれるよね。ラッキー。
「なんのって……未来への帰り方じゃ。それしかなかろう」
「あー、帰り方ねえ……ああ…」
お餅に気を取られる私を呆れたような顔で見つめる伊江宗さんを全く見ずに、私はお餅をもう一口食べた。
『実は、帰り方を知っているの!
寝たら元の世界に戻っちゃうんだよね~』
……なんて言ったらどうなるのだろうか。


