「心がこもっておらんようだが?」
「込めてます込めてます。めちゃめちゃこもってます」
私はそう言って、スタスタと早歩きで先へ進む。
その後をゆっくりと伊江宗さんが追ってくる。
しばらく、小さな喧嘩をしながら城下町の賑やかさを堪能した私達は、茶屋に立ち寄った。
「美味しそうなお餅!伊江宗さん、私、これ食べたいです!」
「分かった。おい、そこの者。これを一つくれ」
「はいよー」
伊江宗さんが注文した後、私達は縁台に腰掛けてお餅が運ばれてくるのを待った。
「伊江宗さんは食べないんですか?」
「ああ、儂は茶だけで十分じゃ。甘味も好きではないしな」
「えっ、そうなんですか?佐江宗さんは好きだったのに…」
「まあ、顔は同じでも、儂らは趣味嗜好が全く異なるからな」
「ああ、確かに……」
そう言われれば、顔は一緒だけど性格は何もかも違う。
双子なのにこうも似ないものなのか。


