「ありがとうございます」
「ああ、構わぬ」
伊江宗さんにお礼を言い、私はそのアクセサリーを手首に巻いた。
「伊江宗さん、どうですか?」
そしてその手を伊江宗さんに見せて、そう問う。
「ああ…似合っておるのではないか?」
「本当に思ってます?」
返答があまりに素っ気なくて、私は眉をひそめてそう聞き返した。
「すまぬな。儂は佐江宗と違うて、おなごが喜ぶことを言えぬのじゃ」
そう謝りながらも、伊江宗さんは半分けんか腰というか、謝る気なんて一切なさそうで、わざとらしく言っているように見えた。
煽ってるな、こいつ。
ちょっとムカついたので、堪らず私もやり返すように、
「いいえ~、佐江宗さんは、本当に素敵な素敵な人ですから。誰かさんと違って」
と言ってやった。
「ほお……では、その紐は返してこようか」
「紐っ…!嫌です、ごめんなさい、返さないでください」


