伊江宗さんは、本当に面白い人だ。
城下町へ行くと、そこは想像以上に賑わっていて、沢山の出店と人で、まるでお祭りだった。
「わあ!なにこれ、可愛い!」
「なんじゃ、それ?」
沢山の目の引かれるものがある中で、私が特に気になって立ち止まったのは、雑貨屋さんのようなお店だった。
すごく綺麗に編まれたミサンガのような紐に、小さな光る石が可愛くて、つい手に取ってしまった。
きっと、この時代のアクセサリーだろう。
伊江宗さんも足を止め、私の手にあるアクセサリーを覗き込む。
「おっ!どうですか、お嬢さん!美しいでしょう?」
私達に気づいて奥から顔を出した、いかにも商人顔のおじさんが、そう声を掛ける。
「はい!可愛いです」
「なんだ、気に入ったのか。いくらじゃ?買うてやろう」
「えっ、いいですいいです!申し訳ないし…」
「なにゆえ遠慮するのじゃ、いいから」
伊江宗さんはそう言うと、おじさんに「いくらだ?」と聞き、提示された金額のお金を払った。


