その行動の理由には、自然の綺麗な場所を見ることで、私の気分を上げることもあったと思う。
「そうか……では、城下町にでも行くか」
「城下町?」
「行ったことがないのであろう?お主も、城の中と木々や海だけだと退屈だっただろう。たまには華やかな場所に行くのもよいぞ」
どうやら、伊江宗さんも私のことを気遣ってくれているらしい。
嬉しい。
でも、
「意外。伊江宗さんは活気のあるところとか嫌いそうなのに」
「ああ、儂はあんな騒がしい所全く好かん」
「えっ、じゃあやめましょうよ。嫌な所にわざわざ行かなくても…」
「お主は、城下は好かぬか?」
「いや、行ってみたいですけど…」
「それならば、参ろう」
苦手なはずなのに、私を喜ばせるために連れて行ってくれるなんて、愛想のない話し方と無表情な顔だけ見ると分からない優しさを感じて、私はふふっと笑った。


