朝、佐江宗さんとお別れした私は、伊江宗さんの部屋へと向かった。
もう着物を着て歩くのもすっかり慣れてしまったし、城の間取りもある程度は覚えた。
この時代も、私にとって日常になりつつあった。
「伊江宗さん?七瀬です」
「ああ、入れ」
部屋の外から声をかけると、冷めた返答がきて、伊江宗さんらしいなと思いながら障子を開けた。
障子を開けると、伊江宗さんが出かける準備満々で立っていた。
「え、付き合ってくれるんですか…?」
てっきり、自分は稽古があるからとか言って、一人で行けって言われると思っていた私はまさかの状況に驚く。
「ああ、そういう約束であるしな。佐江宗とはどこへ行ったのじゃ?」
「あ、えっと…私がこっちに来たあの戦場とか、海とか森とか連れて行ってもらった」
佐江宗さんは自然がある場所でそういう摩訶不思議な現象が起きると思ったようで、自然の多い場所に連れて行ってくれた。


