伝えたところで何も変わらないし、仮に別れたとしても、経済的に私も今の生活ができなくなるのは明白だからだ。
今の生活に唾を吐いているのに、今の生活を変えたくないのだ。
家族みんなで一緒にいたい。仲良くしてほしい。
そんな気持ちは微塵もなくて、理由なんて、面倒くさいからだけだ。
結局、私にはこんな廃れた家庭がお似合いなのだ。
だって、私自身、廃れ切っているから。
私も、所詮エゴイストなのだろう。
今夜も、もう寝よう。
そうしたら、あの面白くて怒号なんて聞くことのない世界へいけるのだから。
最近の楽しみは、寝て夢を見ることしかない。
私は親のうるさい喧嘩を布団で防いで、目を閉じた。
「では、二週間後に」
「はい、色々と付き合って頂いて、ありがとうございました」
「楽しかった。二週間後が楽しみじゃ。伊江宗と仲良くな」
「はい!」


