このよく分からない状況に頭は追いついていないが、私の中で真っ先に浮かんだのは、羽織を返さなきゃ、という思いだった。
黄色の旗の男を刺して私を助けてくれたことを考えると、彼は青旗の人だろう。
私は木に寄りかかりながらゆっくり立ち上がると、少しずつ青旗の軍がいる所へ向かって歩き出した。
喜びの声を上げている真ん中に、馬に乗っている、如何にも大将のような人がいた。
直感で、彼だと思った。
ゆっくりゆっくり近づいていって、馬の前まで来ると、さっきまで喜びに満ちていた兵士たちが一気に怪訝な表情を浮かべて私の方を見た。
中には、刀を私に向けて警戒している人もいた。
絶対怪しまれている。
殺されるんじゃないか、なんて思いでドキドキしながら立っていると、
「刀を降ろせ」
と言って馬から降り、その男の人が私の方へ近づいてきた。
…彼かもしれない。
そう思うと心拍が速くなっていく。
「あ……」
私に近づいて兜を脱いだ男の顔を見て、やっぱり彼だったと気づき、もっと心拍が速くなる。


